こんにちは。PHLUXXのマスタリングエンジニア、MASSです。
ときどき、こんな質問をされることがあります。
「どの形式で書き出すのが一番音が良く仕上がると思いますか?」
ひと昔前であれば、結構選択肢があったように思うのですが、
現代では
「作業しているサンプリングレート/32bit float」
が最もいい選択だといえるでしょう。
どうしてなのかを、ざっくりとした説明とともに振り返ってみたいと思います。
サンプリングレートって何?
サンプリングレートは、1秒間に何回音を切って信号にするかというモノです。
難しい説明は省略をしますが、ステレオの場合は丁度半分に当たる高さまで音を収録できます。
例えば、44.1khzの場合は22khzまで。
96khの場合は48khzまでの高さを集音できるというわけです。
一般的にCDでも配信でも44.1khzのサンプリングレートが使われています。
人間の可聴域は20khz以上は聴き取れないので、22khzのフォーマットでも十分だということで、このレートが一般的には浸透しています。
ビットレートって何?
ビットレートは、音の大きさをどのぐらいまで記録できるかということを示しています。
だいたい1bitあたり6dbに相当をしていて、
16bitであれば、96dbまで。
24bitであれば、144dbまでを収録できます。
少し、面白いのは、ビット数が増えていけばいくほど、より小さな音を集音できるようになるという点です。
デジタルの世界では天井は0dbで固定されているので、ビット数が上がっていくと音の消え際や滑らかさが変化をしていくのです。
人間の耳は130db SPL(音の大きさ)まで知覚ができるので、ビットレートに関してはなるべく大きい方が音質的には有利だといえるでしょう。
ただ、近年32bitfloatに対応をしたDAWが普及をしたことで、0dbを超えてはいけないという部分はほとんど無視ができるようになりました。
32bitfloatについて
32bitfloatは浮動少数点処理というもの。
簡単にいうと、単位の少数点の位置を何処にでも設定できる規格です。
技術的な解説を抜きにして、メリットだけお伝えしますと……。
クリッピングしない。(0dbを超えても大丈夫)
ゲイン調整をしても音質が変わらない。
ということが挙げられます。
丁度DAWのマスターフェーダーを相手のシステムに直結できるようなイメージで考えて貰えるとわかりやすいと思います。
この形式で書き出して貰えると、自由にゲインの調整ができるので後の工程の人の融通が利きやすいというのが最大のメリットです。
ただ、これはあくまでもデジタルの世界の中だけの話で、まだ32bitfloatを表現できるDAC(デジタルをアナログに変換する機器)は存在していません。(2016年12月現在)
なので、32bitfloatの音源を直接聞くことはできませんので、聞くときは24bitなどに変換して聞く必要があります。
フォーマットの違いとレートの違い
最後に、それぞれのメディアがどういったフォーマットになっているのかをみていきましょう。
CD=44.1khz 16bit
配信=44.1khz 16bit〜96khz 24bit
(Mastered for iTunesは44.1khz 24bitです。)
DVD=48khz 24bit
BlueRay=96khz 24bit
という違いがあります。
個人的な見解では、16bitと24bitの違いはサンプリングレート(44.1khzや48khz)が変わる以上の音質的な変化があるので、配信を利用される際にはなるべく高いビットレートで配信されることをオススメいたします。
何かのお役に立てれば幸いです。